メーカー、問屋さんさんへの文句ダヨォーン
  黙っている我々って・・・おかしいよね。


最近、このテント業界に身をおく者として、我々を取り巻く環境の変化に対しては いろいろ考えさせられることが有ります。
安い労働力を求めて海外依存することは世の習いとはいえ、果たしてこのままでいいの???。

原反メーカーさんや問屋さんが加工部隊を持ち、我々以外の業界に大量の商品を直販(防炎シートやネットシート等)している事っておかしくない???。

問屋さんが開発部隊と称してシートハウスやシートシャッターを取り付けていることって黙認されているけど、これっておかしくない。はたしてそれでいいの???。

オーニングのメーカーさんが直販取付部隊を持っているってどういうこと???。

我々は、そのような動きをそのまま黙って見過ごしていいものかどうか・・・。その犠牲になるのは我々加工屋だということに気がついていないことに非常にあせりを感じてしまいます。このままで推移していったら、日本には我々みたいなテント加工屋なんて必要無なくなってしまうだろうし、早めにこの業界から手を引いたほうが賢い選択だということが言えます。知らぬ間に見えない糸であやつり人形になっていた自分に対し、叱咤激励の意味を含めて、私が普段考えていることを私個人のグチとしておもいのまま文字にしてみたいと思います。
 (明日から風当たりがつよくなるだろうなァ)


1) ポリエステル帆布の号数って意味があるの?

綿 帆 布 (JIS.L-3102) 規 格 表
種類
番号
原  糸
密   度
重量 g/u
経糸×緯糸
経糸
緯糸

並 

 

綿 

 

帆 



 
10/7×10/8
28-32
18-22
1014
 
10/7×10/7
28-32
16-20
941
 
10/6×10/6
28-32
19-23
867
 
10/6×10/5
29-33
18-22
794
 
10/4×10/5
32-36
23-27
720
 
10/4×10/4
32-36
23-27

647

 
10/3×10/4
34-38
24-28
573
 

10/3×10/3

34-38
24-28
500
 
10/2×10/3
44-48
33-37
510
10
10/2×10/2
45-49
34-38
428
11
10/2×10/1
43-47
39-43

343


 お客様からトラックシートのご注文をいただく場合 「表面がつるつるしてシルバー色のやつで・・・」という表現でいただきます。このような表現からすると、いかに形状や色が大きな要素であるかが解ります。その事から考察するに、同じシートの色(緑とかシルバー等々)をしていれば、性能はみな同じ物というように考えていらっしゃる方が多いと言うことでしょう。逆に、「ポリエステル帆布の何号でターポセットのかかったやつ」なんてことをお客様から言われれば、逆に構えてしまいます。これってあたりまえのことですよね。これは我々の説明不足から来るものなのですが、一般にお客様は、シート生地に強さの強弱があるなんてことはご存知ない方が殆どだと思います。

トラックに使用されるシートは、もともと綿帆布からスタートしました。そしてその強度は,日本工業規格JIS-3102[綿帆布]で定められた号数が基準になっていました。すなわち綿帆布の引っ張り強度に合わせた号数を使って強度の基準としたのです。

現在では綿帆布の需要は少なくなり合繊帆布ばやりですが、最初に出現したビニロンはその綿帆布の流れを踏襲(JISの規格あり)したので、号数によるはっきりした性能比較ができました。
ただ、現在主流になっているポリエステル帆布においては、綿帆布やビニロンのような規格は決められていないのです。各メーカーさんで独自に販売を先行してしまい、また、新しいものを次々と発表するものですから、JISの規定なしに販売しております。最初のうちはビニロンの規定に添って同じ号数を表示していたポリエステル帆布も、現在のような経済不況になればなるほどおかしな現象が現れました。すなわち 「#5号クラスの#4番」という言い方。「これって本当は何番なの?」と言いたくなります。結局、性能から言えば#5番なのに、メーカーさんはこれを#4番と表示しますよ・・・ってこと。帆布を扱う私たちでも解りにくいのに、ましてやお客様に解るわけありません。薄くて破れやすい生地でも、メーカーさんが勝手に#4番とか#3番と表示できるのです。「これって絶対おかしいよ!お客さんをダマシテルのと同じじゃない!。お客さんから信用されない業界なんて必ず報いが来るって〜〜!!。」 「 ムカッ!  ムカッ!」


2) 担当者さん・・・もっと正確なことおしえてよ 
糸入り透明ビニールのお・は・な・し。
あるメーカーさんが作ったものがヒットすれば、他のメーカーさんや問屋さんも自社ブランド名で作成・・・。ここまではよくある事。ただ、私たちもうっかりしていたのが性能比較。問屋さんの「○○さんの物と同じもんで、安いものを作りましたから、うちのを使ってくださいよ〜。」「ヘエ〜〜、アソコと同じで○○円違うの、じゃ、こっちのほうを○本お願い・・・。」
実際に使ってみたら「裂けやすくなったよ」とお客様からの文句。おかしいなァと思い、すぐにカタログに書いてある性能比較表を調べてみたら、元々のメーカーさんの半分位の性能。いっけねェ、そういえばあの問屋さん、「同じ物」とは言ったけど、性能が同じだとは言わなかったァ。「同じもの」とは、結局、糸が入っているやつという事かァ・・・。アンニャロメ・・・!!。問屋さんもアクギがあったわけではないと思うけど、はっきり説明してくれなきゃァ・・・。というより、販売担当員の方も、性能の比較までチェックしていないんだろうネ。安さにめがくらんだ私がいけないんだけど・・・。ゴメンチャイ。
だんだんお酒が入ってきたような書き方になってきました。じつは、ちょっとばっかし・・・。でも、私のアドレナリンも高まってきているのは間違いないネ。皆さんも注意してね。

3) 安易に海外進出なんて言わないでよ。

だんだん本題に入ってきました。最近、メーカーさんの中で安い労働力を目当てに国外に進出していったり、海外のものを扱う問屋さんが多く見受けられるようになりました。韓国産・中国産なんてのは過去の話。今ではタイ製ですって。いずれにしても自分たちがよければいいって感じ。それには営業マンにあたえられるノルマにも関係するんでしょうね。対前年比なんてのがあるから、みんな数字に追いまくられてる。日本全体がバブルの後遺症から立ち上がれないでいるのにこのノルマ。対処法といえば、社内においてはリストラで経費をつめるか仕入を安くするか、安値で積極販売するかあとは帳簿をかいざんするかのいずれかです。結局 実行することになったその方法というのが一番安直な海外進出して安い労働力で生産し、安値で販売するって方法。他の業界が先行していたとはいえ、みんな右ナライ。まるで浮気性の男みたい。(アッ 俺のこと??) 安い労働力を求めて韓国から中国、シンガポール、タイを経てベトナムやインドという風に、さながら渡り鳥のようなものです。まだ渡り鳥なら日本に帰ってくる鳥もあるので安心は50%ですが、この”企業渡り鳥” はもう帰ってこない「さまよい鳥」なので、よけいタチが悪い鳥です。商社も商社。「今行動(海外進出)を起こさないとホカのメーカーにやられるから真剣に検討しています」なんて事を公言するありさま。問屋さんに至っては原反売りとは別の部隊を作って開発と称し、テント倉庫やシートシャッターを建てる事を真剣に会議を開いているとの事。それも一社だけ除いて殆どがその方向。結局、「自分がよければ後はシ〜ランベ〜〜ッ!!。」ってな感じ。問屋さんが我々と同じ加工を扱うなんて安く出来るにきまってるジャン。原価そのものがはじめから安いんだから。そんなのが大量に流れたら我々テント屋なんて必要なくなるって事。そうでなくても地方のテント屋で儲かっているところなんてそんなにあるわけじゃない。殆どが赤黒すれすれの決算状況なのに、これ以上価格競争を仕向けられたら 「たまったもんじゃ あ〜りませんッ。」 問屋さんは我々をつぶしにかかってんじゃないの?としか思えないような気持ちになります。
でも、これってわれわれテント屋にも責任がありますよネ。「めざせ巧」にも書いたけど、最近のテント屋さんは自分の職人としてのプライドを捨て去り、安易に加工を問屋さんに依頼するって事。たしかに忙しくてその仕事をやってられない時もあるけど、残業をしたら出来ない事はない。結局、自分が安く契約したので金額の割には手間がこんで採算割れしているから問屋さんに面倒みてちょうだいという甘えの構造があるか、または、時間がないということを言い訳にして面倒くさいというカラヤキになっちゃったかのどちらか。
集会用テントも自分たちで作ろうよ!。以前は技能士の試験問題だったんだから・・・。

集会テントといえば、最近聞いたオハナシ。ある県庁所在地の教育委員会で集会用テント(6坪) 7張りの入札があったそうです。市内のテント屋さん数社と建築資材屋さんとで争われたそうですが、応札したのは予想に反して建築資材屋さん。なんとその価格は、我々の仕入れ同様のプライス。確かに入札仕様書には「集会用テント 2×3間(6坪)」しか書かれていないため、応札した方がどのような商品を持ってくるのか・・・例えば、金具がメッキになっていないとか、屋根幕がターポリン製とかいろいろ考えられます。もしかすれば外国製かも・・・なんていろいろ噂が流れています。我々の同業の方が応札できなかった事もショックですが、そのような値段がでたら、テントでメシを食っているわれわれはどうすればいいんでしょうか。だれがその建築資材屋さんに品物を供給するのでしょうか?。結局、問屋さんが我々同様の金額でながしているか、またはメーカーさんがそこに直販しているか、または、海外からの輸入品の3つしか考えられません。これって、問題じゃない。今後このようなことが全国的になったら・・・と考えると 「やーめた」と言ったほうが賢いかな?。

もう一つ集会用テントのオハナシ。このテント業界でも有名な方が、共同輸入と称し海外から内外価格差の大きい商品を輸入しようとしているとのウワサ。その中には集会用テントも含まれているのだといいます。その方の持論は、「良い商品を安く提供するのが責務」。それはそれで説得力がありますが、実際には波風が立っていないところにわざとたたせているようなもの。我々テント屋をがその価格競争のウズにまきこまれる事は必定。これって自分のエゴじゃない。「自分のとこだけ残ればあとはどうでもイイジャン」ってしか思えない。ムカッ、ムカッ。


4) 輸入帆布のを扱うメーカーや問屋さんって・・・ ダ〜〜〜イ ・ き・ら・い・デス!
いままで「そんなものを扱っていたらいいことないよ。だって半年経ったらリバーシブルなんだよ(染色技術が未熟なために色ざめが早く、太陽にあたる面が退色して2種類の色使いに見える)。」と言っていた問屋さんも、背に腹はかえられないんでしょうネ。「2mハバで○○○円ー/m」なんて国産の半分近くの値段を平気で言う始末。「リバーシブルとか性能が安定していない・・・なんて事を言うのなら、そんなものに値段をつけるなよ!。値段をつけると言うことは、積極販売を意味するぞ!!。」 と言いたい気分。そんなことまでして販売しても、自分のためには絶対ならないって!!。だって、日本の工場を閉鎖して海外にいったとすれば、今までその工場に何らかの形で納めていたシート製品(例えば,保管の為のシートハウスだとか、間仕切りのシートカーテン等)が今後出ないって事。逆にいえば,その地域のテント屋さんに反物を供給していたメーカーさんや問屋さんにとって、その分の数量が出ないって事ですよ。結局自分の首をしめる事になりますよね。輸入品を扱えば、販売数量が増えても、結果として販売金額が伸びないことは目に見えているじゃない(国産の半値で販売するようなものだから数量を倍にしないと同じ金額にならないって事。必要絶対数量が同じなのでそんなの無理ってこと)。 不安定な製品を販売するって事はクレームが出ることにより、シート業界全体に対するイメージが低下するんだからネッ!!。 冗談言っちゃ嫌だよ。 ムカッ!  ムカッ!


5) ノンクレーム裁判って何? (安いからイイジャン・・・なんて そんなのこまるのことヨ)
そういえば、最近のシートハウスの現状には目を覆いたくなりますネ。本来は、確認申請を取らなければならないのに、日本全体の90%が未確認タイプだなんて。・・・という私のとこでも、何回かは同じことしてるけど・・・。
シートハウスが出始めた当初は、そのような確認の決まりが無く、仮設物扱いだったのでよかったけど・・・。また、未確認でも、ある程度の積雪には耐えられるような強度設計をしていました。とっころが、多くのテント屋さんがこれは儲かるとやり始めてからは、あまりにも値段の勝負になりすぎてしまい、鉄骨フレームのピッチを広げるやら(広げると言うことは、長さによっては鉄骨の何スパンかは不要になるため金額を安くできるし、シート自体も裏側に押さえ止めのペケをつけなくてもよくなるため競争力がますってこと)、材質を落とすやら・・・ほれっ、さっきの何号クラスの何番ッてなもので作成したり・・・。節操がなくなってしまったって感じですよネ。これもさっきと同じで、ある問屋さんなんかは「ノンクレームで販売します・・・」なんて事を言ってるけど、ノンクレームって何なの!。”安いけどクレームがあっても保証しませんよ!”」ってことじゃない。そんなこと言ってるからノンクレーム裁判(安さが売りですから性能保証はしませんが、一般の使用には耐えられるものですよ・・・って言って契約成功。でも、台風でツブレチャッタ。お施主さんからはどうしてくれるこのハウス〜〜っていう裁判。)がおこっちゃったりして。こんなの業界全体のモラルの問題だとおもうよ。 ムカッ ムカッ

(この原稿を書いたときはまだ8月の段階でした。2004年の秋口に、実際に大きな台風の被害が発生するとは思わず、思いつくままに書いておりました。被害にあわれました方にはこの場をかりてお見舞い申し上げます。)


5) 不安 ・ フアン 

そんな業界にもシッペガエシが・・・来ました。・・・来ました。
今までシート業界に関係の無かった会社(商社かどうかは不明ですが・・・)から、各地のトラック運送会社のところにFAXがはいっているそうです。
その内容たるや、5m×11m50のトラックシート・・・(センターライン付き、三角ペケ付きという一般的なトラックシート)。#5号クラスと表示されてるったって・・・?・?・?そんなのわかりゃァしない。タダ、その販売価格たるや○○○円という実勢価格の半分近い値段。どのくらいこの商品が出回っているかは正確には解りませんが、結構出回っているのでは・・・という情報。
今まで自分の会社の利益貢献という名のもとに、他の国の安い反物や製品を輸入してきた問屋さんからすれば、知らない業界からの殴りこみに右往左往。あたりまえジャン、いかに自分たちが目先の利益しか追っていなかったってこと。前年比何%増の売上に貢献しているなんて自己満足ジャン。5年先、10年先も同じことしていたら日本の国のシートは皆海外製品になっていたり、シート価格は現在の半値以下。国産メーカーは太刀打ちできず事業の方向転換により廃止・・・なんちゃってネ。海外のシート性能の不安定さにより国内ではシートよりも本物志向・・・すなわち 幌シートよりも箱型トラック、シートハウスよりも本建築のものを・・・云々。ついては輸入シートも出回らず、販売先の減少により自分の会社も倒産・・・なんてネ。そんな軽率なことを言っている私もどうかと思うが,そのような絵空事が現実になるかも知れないのである。今日の目先の利益より、5年、10年先の業界の発展のためにはどうすればよいか、仕入から販売形態まで業界全体として考え直さねばならない時期になったんじゃないのかなァ。
経営の神様 松下幸之助さんが以前「みなさんもうけなはれ。儲けて税金をギョウサン払いなはれ。儲ける事は罪悪と違います。」とおっしゃっていた事を思い浮かべます。この言葉は日本全体の会社が儲かる仕組みを考えなされとおっしゃっているのだと思います。翁が存命ならば「あんさんたち 何やっとりますねん。日本の皆さんが幸せと感じないような社会作って、どうして松下電器が生きていけますの。従業員をリストラして自分だけ生きようなんてあさはかな事考えたらいけましぇん。ちょっと考えておくれやす。」てなことをおっしゃるんじゃないかなと思います。メーカー、問屋サンをはじめとする経済界の方々は自分の利益のみに終始せず、日ノ国ニッポンの益々の発展を遂げるような慎重な行動をとってもらいたいと思うのは私だけではないでしょう。
ちょっと遅いかもしれないけど・・・。とにかく テント・シートのフアンのお客さんををつくらねば ・・・ と思う今日この頃です。