ドームこぼれ話
1)換気扇でふくらむ東京ドーム
最近あちこちで見うけられる幕構造物。公共施設の建物にも多く見うけられるようになりました。鉄骨にシートをかけるタイプや、空気の力でふくらませるタイプのものまでいろありますが、この構造でいちやく名をたからしめたのは東京ドームであることはいうまでもありません。野球場をすっぽり包みこみ、天気に左右されない会場をつくる屋根を空気の力で膨らませるなんて、あらゆる建築材料の内で一番軽い幕材だからできること。そんな工法なんて、一般の人の頭では考えもつかないことですよね。
十数年前に青函博があったときのお話です。青森側では、イベントの目玉会場としてシャコちゃんドームをつくりました。そのときの施工に携わった小川テントの方からおききしたのですが、「あなたたちも簡単につくれますよ。」というのです。一番簡単なのは、イベントにつかわれるアーチ型エアーテント。「布地を筒状にして片方から換気扇の口に取りつければできます」とのこと。「へエー、そっかー」ってなわけで、さっそく試作。あまったターポリンの生地を筒状にし、両端の一方を袋状にし(メクラの状態)、他方を換気扇に結合。------結果---オーライ。「なーんだ、エアードームって換気扇のお化けを何台もつなげて膨らませただけジャン。たいしたことないんだ。」と考えたら、なんだか東京ドームが身近に感じられたのは私だけではなかったようです。
2)あんな重い金具が浮くなんてウッソー。
巨大な鉄の船が海に浮かぶのはわかります。飛行機が空を飛ぶのも納得しているんです。重くても大きなシートが空気の力で膨らむのもOK。でも、でもですョ。・・・・・・・・・・・・・・東京ドームやシャコちゃんドームを構成するのは、シートだけではないんです。シートが広がりすぎないよう、または、本来の設計された形におさまるよう太いワイヤーが縦横に結束され、そこにシートが連結されているのです。床に置いてあったワイヤーや結束金具の重いのなんの。一部分だけでも持ち上げるのに大変な思いをしました。「ちょっとまって〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ。この重い金具、シートと一緒に空気でもちあがるってこと?    ウッソ〜〜〜〜〜ッ!!!!!。」いざ、内部に空気を送り始めたら、一時間後、少しづつ宙に浮くんです。「ウッソ〜〜〜〜〜〜ッ。  絶対ウソダ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ。」
江戸時代に鉄でできたペリーの黒船を見た人はそのような感覚だったんでしょうね。
十数年後の今となっては、懐かしい思い出です。

 
3)これぞ商売・・・しおりのお話。
東京ドームを施工した太陽工業の方から聞いたお話です。
工事が完了しほっとしていたらドームの関係者の方から「使用した布地があまっていたら、全部このサイズに切ってください」といわれたそうです。あまりにも小さいサイズだったので何をするのか聞かずに何百枚か届けたそうです。後日、ジャイアンツ戦を見た帰りに売店で売られていたものを見てガクゼンとしたそうです。何と、以前タダで提供した布地にポンチで穴をあけリボンを結び、”ドーム-記念しおり”として販売していたそうです。原材料はタダ。販売価格は・・・円。これぞ商売の見本・・・ですネ。

4)幕構造物点の問題。

にある公共施設のドーム関係者の方から聞いたお話です。「ドームって、いい面もあるし困ることもあるョ。」との事。良い面・・・経過年数がたつほど屋根幕が白くなり、昼の照明代が少なくてすむ。悪い面・・・天井から結露水がポタポタと落ちてくる。ここでチョットシタ思い出話。八戸から約15分離れたところに南郷村のドームがあります。以前”そば祭り”なるイベントが開催されており、青森県内の名物ラーメンが食せるということで、家族を連れて食べに行きました。ラーメンをすすっていたら、天井から首筋にポタリ。ヒャッとして 「なんだ!」とビックリ。2〜3分したら、今度はどんぶりの中にポタリ。「これじゃゆっくり食えねえジャねえか」。 周りの地面を見れば、”ポタリ水”の黒いシミがいたるところに点在。。ドームもいいけど、二重幕構造にするとか、天井に添って空気を送らないからこんなことになるんじゃ。そう思いながら天井を気にしながら食べていました。
八戸にラピアという長崎屋系列のデパートがあります。そこのドームは、遊技場と食堂街になっております。そこでも天井からラーメンのどんぶりにポタッ。おかげで、商売をやらせていただきました。お客様から苦情が出て急きょテントをつけることになったのです。「私達もドームの仕事をしたよ。」と言って大きな顔しています。本当はドームで・・・なんですけどネ。