全国のテント屋サン、この写真をみて元気になろう!。
  「キャンバス」にまつわる”目からウロコ”とは?
私が読んだ本で特に印象深く残っているのは、いずれも30年前にはやった「サボテンがしゃべった」(竹村健一 訳)と 「梅干と日本刀」(樋口清之著 祥伝社) の2冊です。「サボテンが・・・・」の内容を紹介すると、植物には人間に感知できない感情があり、また、同じ植物同士で会話をしている。・・・という ものです。私は、内容はともかく、普通の人間なら誰もこんなテーマを研究しようとは思わないことを、周りから奇異の目で見られながらも研究しつづけ、一冊の本にまとめあげた筆者に敬意を払いたいと思います。そこには今まで常識として思われていたこと(話ができるのは人間だけ・・・植物には言葉がない)を何の疑いもなく受け流す我々凡人に対する警鐘であり、また、チャレンジ精神の大切さを教えてくれる本として大事にしまっております。 また、樋口博士の「梅干と・・・」は、明治以来の欧米に対する劣等意識からか、欧米に比べて非科学的といわれていた日本の文化・習慣・伝統・価値観が、実は非常に科学性にとんでいて、しかもそんなことを意識しないで生活に密着しているという日本人の発想の豊かさ、自然観察力のスルドサ、知恵と独創の歴史という点で、我々日本人に対して明るさを与えてくれた本ということでこれもまた枕の横にいつも置いている本です。この本を見直すとむしょうにアドレナリンが増えるんでしょうか元気になる本です。ニッポン チャ チャ チャ・・・ですね。
皆さんは左の写真を見たら、どんなことを連想するでしょうか。
「これってオランダの風車かしら、でも周りの空の青さからするとスペインのラ・マンチャかしら。いいなァ行ってみたいわ。」「彼と一緒に行って〜〜〜〜〜 、で、○○○○をたべてェ〜〜〜〜〜、○○○○へも行ってェ〜〜〜〜、云々。」 ざっとこんなところでしょうか。私もそのときまでは、写真を見ても何も感じないオッサンでした。
でも、忘れはしません 2003年11月16日(日曜日) あさ7時半。いつものように布団に入りながら、ものぐさにリモコンのスイッチを入れ、12チャンネルの「道浪漫」。  (アッ失礼、青森放送では東京のチャンネルとちがって12チャンネルなのです。)
この番組は、ゲストの方がいろいろなところを旅し、観光スポットやホテル、食事、地方独特の催事を紹介する番組で、私のお気に入りの番組です。今回は、国際的なチェロリスト・・・溝口 肇氏がトラベラー。スペインのマドリードからカスティーリヤ地方を紹介するという構成。田舎町コンスエグラでの収穫を祝うサフラン祭りのときです。私は一瞬目を疑いました。「アッ、風車にテントだ!!。」大きな声を出したことを覚えています。なんと風車の羽にキャンバスが張られていたのです。普段は動かない風車ですが、サフラン祭りの時だけはテントをかけて風車を回すというのです。「風車はやっぱり回ってないとね。かっこいいね。」というコメント。「・・・といことは、普段テレビや雑誌で見る風車は回ってないの?。いやいや、たしか八戸のこどもの国(現在の八戸公園)の風車は回っていたよなぁ。でも、あれはモーターで回っていたのかな?長崎のオランダ村の風車も回ってないのかな?ちょっとまってェ・・・ヨ〜〜ク考えよう。風車の羽って格子状になってるって事は風が素通りするジャン。テントを張るって事は、帆船の帆と同じ・・・エエッ、ウッソー〜〜〜。」

人間って、いつも見慣れているものについては、何の疑いもなく見過ごしているって事ありますよね。
本当のことがわかった瞬間「よく考えてみれば当たり前のことだよなぁ。目からウロコってこんなことをいうんだろうね」なんて照れ隠しに「フフッ」と笑ったくらいにして。正直言って、そのときは照れ笑いも何もありません。半ばうれしさと、半ば憤り。だってCANVASをなりわいにしているものにとって,このようなところにテント(キャンバス)が使われていることをはじめて知った時のうれしさと、今まで知らなかった自分の知識の無さ、及び全国の観光地の風車にテントが使われていないことへのはがゆさ・・・。普段の自分に戻るのに時間がかかったことを覚えております。このようにしてみると、CANVASって船の帆や油絵を描くときに使うだけじゃないんですね。
「CANVASってすごい!」

 

日本のシート業界ではポリエステル帆布が主流で、麻や綿の帆布があまり使われなくなりましたが、それらは今カバンの素材として皆さんのお役に立っているみたいです。思わぬ利用のされ方という面で注目に値するでしょう。 「サンブレラ」という生地があります。大一帆布さんがアメリカから輸入しているアクリルの布地ですが、コットン風味の原着染めですので、風合いもいいし色あせもしないし、可動用のオーニングには最適なものです。その特色を生かして近年ではカバンの素材としても使われており人気を博しておるとのこと。今ではオーニングとしてのものより、出荷数量が多い時もあるそうです。このように「CANVAS」はわれわれの気がつかない分野で使われております。そしてまた、これからも未知の分野に進出していくでしょう。その分野を開拓していくのはほかならぬ”あなた”かも知れないのです。皆さん、パイオニアになってみませんか。

 


フラッグの取り付け方にみた日本の自然に対する考え方
  日本人の発想ってすごい!!  
生活環境や文化、そして自然に対する考え方は日本と欧米諸国では180度の違いがあります。欧米の場合の国どうしの戦いでは、お互い殺すか殺されるかという二者択一しかありいませんでした。だからでしょうか。自然の力をも制圧する・・・という考え方に向いていった事は推察されます。一方、日本の場合は、他国に制圧されるという危険性は鎌倉時代の元寇の時くらいで、実際に制圧されたということはありませんでした。だからでしょう、自然の力には逆らえないもの・・・いかに自然の力を分散し、自分たちの生活に役立てるかを考えたのだと思います。ここでは単純なフラッグですが、私たちのやり方と違い自然の力をうまく分散っさせているやり方だと感心した例がありましたのでご紹介します。(他のテント屋さんからすれば、ダイカツさん、20年遅いよ!といわれそうですが・・・)。
場所は東京銀座2丁目の交差点。フラッグは5本取り付けてあります。普通でしたらフラッグアームを壁面に取り付け、フラッグを2ヶ所固定するか または、フラッグの下部にハトメをあけ、近くの壁に丸カンをとりつけ縛り付けておくやり方。これは、フラッグアームのフラッグを結び付けておく丸カンが単純に溶接されており自由に回転しないのです。従って、強い風が吹くとフラッグがめくられてポールにひっかかってしまうことを避けるための措置ですが、これが欧米流の自然の力に、力でもって制圧しようとするやり方ですね。でもこの方法だと、いくらハトメの部分を補強したとしてもすぐ破れてしまいます。今回感心した方法とは、フラッグアームの根元からワイヤーをさげ、壁に固定します。フラッグの下にはハトメをあけておきますが、ワイヤーに結び付けておくのではなく、ナスカンで自由に動かせるようにしております。従って、風がふけば、フラッグはあおられて上に上がったり下がったり。そういえば、普通の桃太郎旗も強い風が吹けば、チイが上下する・・・ということは旗そのものが強い風に抵抗しないで上下しているって事。これが日本独特の自然の力に逆らわない方法なのかと思ったら、無性に気持ちがハレバレしました。たった1本のワイヤーの取り付けがフラッグの寿命を長くし、ひいてはお客さんを喜ばせ、かつ取付け業者の信用を増大させる・・・。今回の出張では、他の業者の取り付け方を注視しなければならないと痛感した一日でした。



ひとりごと (これからのテント屋)

最近の我々のメーカーさんの海外依存度の高いことには閉口してしまいます。既製品を販売していくだけでは、営業力の差からも資本の面からも大きなところに負けますし、安値に対抗しようとしたら自分の首を絞めるだけです。私がテント屋として思うことは、これからのテント屋はイチメーカーとして動くべきと考えます。そのためにはテント以外の商品知識を持ちキャンバスと組み合わせて新しいものを作り続けなければなりません。非常に難しいことではありますが、そのようにしないと我々の明日はないと考えるべきでしょう。 ここでひとつの例を挙げましょう。カヌー(カヤック)というとジープの屋根にFRP製の長いカヌー載せて、いかにもアウトドアっていう感じが強いのですが、映画「キャンプであいましょう」の中では携帯用のカヌーを使用していました。なんとそれはシートキャンバス製のカヌー。湖はもちろん、東京のネオンが水面にうつる川(ドブ川?)を主人公の後藤久美子と野村祐人が二人でカヌーをあやつる姿をみて、一人のテント屋として「自分も作ってみたい」と思いました。「テントでカヌーができるんだ!」 逆に言えばで きないものは何もないって事でしょうか・・・。テント業界にも新しい息吹が芽生えて・・・きた・・・かナ?。