幌シートの骨金具がオーニングパイプとは これいかに?
    オーニングのネーミングに関して 第二弾




前回、「オーニング協会にものもうす」と題して、固定テントも可動式テントも同じ「オーニング」というネーミングになるとお話しました。最近、ここ八戸でもホームハウジングのメーカーさんや、設計の先生から、オーニングについてのお問い合わせがいくつもあり、そのつど可動式か固定かを確認するわけですが、それも億劫に感じるようになりました。というのは、設計の先生たちは可動式のオーニングのことを頭に描いている方が殆どだからです。
でも、これからは国際社会の時代。特に八戸は三沢の米軍基地にも近く、また、原子力政策の一環としてフランスから技術者を招き、下田町(八戸から車で20分くらいのところ) に住まわせるなど国際化が著しいのです。「だからこそ」自分の意見、及び知識の再確認という意味でも調べてみました。しつこい男やナァ・・・といわれそうですが・・・。
まず、訪れたのは、八戸市の図書館。英文の辞書には前回書いた「マーキー」「テント」「キャノピー」「オーニング」「パビリオン」がどのように解説されているか調べてみました。本来ならエンサイクロペディアみたいな辞書があればよかったのでしょうが、ここにはそのような高尚なものがありませんので、「Shorter Oxford English Dictionary」で調べてみました。

1)Marquee

A large tent,as an officer`s field-tent,or one used at an entertainment ,or the like
軍の野営に使われるものとか、催し物のときに使われるような大きなテントという意味でしょう。

2)Tent

A portable shelter or dwelling of canvas (formerly of skins or cloth) ,supported by means of a polo or poles and usu. extended and secured by ropes fastened to pegs which are driven into the ground; used by travellers, soldiers,,nomads,and others;a pavillion.
旅行者、軍隊、遊牧民等で使われているキャンバス製の(以前は獣皮や布を使ったけど)簡易な避難場所(住居)。
地面に突き刺されたペグにしっかりと固定されたポールにより、構成されています(支えられています)。

3)Canopy Net over a bed , pavilion Egyptian bed with mosquito curtains
エジプトの人たちがつかっていた蚊帳。
1) A covering suspended over a throne couch bed, etc, or held over a person.
玉座やソファ その他 それに類するものにかぶせられたもの。
2) A covering an overhanging shade or shelter
突出た日除けやシェルターへのおおい。
3) A roof -like ornamental projection over a niche , door , window , tomb
ニッチ(花瓶などを置くために作られた壁のくぼみ)やドア、窓、幕の上に屋根のように作られた装飾用の出っ張り。
4)Awning 1)

A roof-like covering of canvas ,etc ,used as a. shelter from sun ,rain ,etc.esp above the deck of a vessel
日除けや雨よけとしてつかわれる布製の屋根のようなもの。特に船のデッキに使われる。

2) Transf .a.Naut that part of the poop-deck which is continued forward beyond the bulkhead of the cabin
キャビンのバルクヘッド(隔壁)をから船尾に続くもの。
5)Pavillion A tent , esp. a large one. rising to a peak above.
屋根をこすような大きなテント。
この注釈は、私が適当に訳したものですから、あまり信用しないでください。 (モット英語を勉強しておけばよかったと反省する邦チャンでした。)

このことからみると、「オーニング」という言葉は、われわれが建物につける日除けや雨よけというよりも、最初は船舶用語 すなわち「デッキオーニング」として使われ今日に至っているということがわかりますネ。

私がこの会社に入り営業や縫製をしていた今から20年くらい前に、トラックディーラーの担当者から「オーニングパイプは○○鈑金さんで作っているから・・・そっちさ行って寸法を計ってけんだぁ」なんて言われ、「オーニングパイプって何ですか?」と担当者の方に尋ねたことがあります。すると担当者は、「んがぁ、そっただごんどもわがんねぇで、よぐテント屋やってるなぁ。幌骨のごどだべせぇ」(注釈 あなたそんなことも知らないで、よくテントの商売をしているね。幌骨のことでしょう・・・。)  いままでホロボネとしか言ったことがなかったので、「ええっ、幌骨の事をオーニングパイプっていうんですか。初めて聞きました」 といったことがありました。そして、そのとき初めて「オーニング」という言葉を耳にしたのを覚えております。このことからしても、キャンバスを張る為の金具、すなわち 固定テントの金具も「オーニングパイプ」ということになります。このことからもオーニング=可動式テントだけと断定するのには疑問が残ります。

「そっただごんど どうでもいがべせぇ・・・(そんなことどうでもいいじゃない)。」 そのとおりですね。そんなことより、いかに多くのオーニングを売るかですよね。でも、知っていて知らないふりをすることと、まったく知らないこととでは、大きな違いがあります。どうか心の片隅にでもコノコトヲしまっておいてください。私は両方のテント・・・イエイエ・・・オーニングでした。私は、固定にしろ、可動式にしろ、オーニングという言葉を使いますが・・・(南部じょっぱりの邦チャンでした。